2021年09月06日

コロナ禍で迫られる、ライフスタイルの変更とストレス

新型コロナウィルスの流行が始まってから、約1年半経とうとしています。ある程度楽観的だったため、私もここまで時間がかかるとは、正直思っていませんでした。昨年3月、4月の段階で今(2021年秋)まだ「元」に戻っていないと思っていたでしょうか。ウィルスの流行・変異やワクチンの接種状況・行き渡り具合、医療体制などの状況も刻々と変わり、また働き方、学び方、家族のあり方なども変わるなか、多くの人が四苦八苦しながらなんとかついていっているというのが実情ではないでしょうか。

今回のことで、特に感じさせられるのがライフスタイルの変化です。在宅勤務・リモートワーク自体は以前からなかったわけではないですが、今回多くの企業や従業員が在宅へのシフトを強要される形になりました。コロナ後、それを継続する場合としない場合とあるかと思いますが、「在宅」というオプションができたと捉えることもできるでしょう。教育の現場では「オンライン授業」「オンライン講義」が広く行われるようになってきました。

通常、大きな変化がない限り、精神的にある程度健康な人は自分のストレスレベルを適正に保つためになんらかの方策(コーピング)を採っています。おいしいものを食べる、飲みに行く、友だちと話す、ショッピングをする、スポーツをする、旅行に行く、等々。ところがコロナ禍ではこのすべての領域に「支障」が生じてしまいました。わずかながら変わらずできている場合もあるかと思いますが、その場合「ラッキー」というしかありません。

おいしいものを外食できないならでは家で・・・というようにした結果、外出や運動不足で体重が増え悩んでしまっている場合、健康に支障が生じ始めてしまっている場合も聞きます。こんな中でバランスをなんとか取り、心身の健康を維持するのは大変なことです。しかしそんな中でも、飲み過ぎない、食べ過ぎない、散歩などできる運動はする・・・などの方策がないわけではありません。

こうした、ライフスタイルの変更を迫られる中、気づくのはコロナ以前に習慣的に、無意識に行っていたことがはたして「ベスト」だったのか、ということです。飲み過ぎていた、食べ過ぎていたという人もいるでしょうし、必要以上に海外・国内旅行やショッピングなどでお金を使っていた、というような場合もあるでしょう。また逆に、奪われてみて初めてそれが自分に必要不可欠だったと、分かる場合もあるでしょう。コロナ後、「元」に戻ってもいいわけですが、せっかくだからコロナ禍で気づいたことを活かしてみるのも、いいのかもしれません。

家族のあり方も変わっています。以前なら、主婦・主夫あるいは不登校のお子さんなど家に留まる人を除けば、家族は職場や学校に行って日中はいない、というのがデフォルトでした。しかし、今は家にいる人数が増えてしまい、家でお昼なども食べているというご家庭が多いでしょう。作業場所がかち合ったり不便であるといった「スペース」の問題もありますし、以前なかった諍い(いさかい)が増えてしまっていることもあるかと思います。

また、比較的得意か簡単な方向へ変化を迫られるのと、苦手・難しい方向へ迫られるのとではまったく違ってきます。やはり必要と分かっていてもやりたくない方向へは人はなかなか動かないものです。さらには、自分が適応できるレベルの変化を超えた変化を強要されたとき、人はどうしてもメンタルに支障を来しがちです。就職・転職、就学・転校などによる環境の変化、転居・引っ越し、人間関係の変化(出会いや離別、死別など)等々もこれに相当します。今はコロナにより「居ながらにして」こうした自分の適応の幅を超えた適応や調整を迫られる日々がつづいています。自分でなんとかしつづけるのに限界を感じたら、カウンセリングも検討していただければと思います。