2020年12月03日

カップル・カウンセリングという方法

個人カウンセリングをしていると、恋愛や結婚(婚活を含む)に関しての相談は比較的よくあるものですが、その延長線上にあるとも言えるのがカップル・カウンセリング(カップル療法)です。「私自身の問題」と思える場合には、個人として相談すればいいわけですが、カップルの間で起こっているダイナミックスや、カップルとして取り組んでいきたいこと、改善・解決したいことなどがある場合は、カップル・カウンセリングをやってみる、ということになります。

カップルがある程度似たような考え方を持ち、積極的でフレキシブルで、コミュニケーションも取れるならカップル・カウンセリングはいらないということになります。そうでないから相談に来るのです。片方は積極的だがもう片方は消極的、片方は変化を求めているがもう片方は現状を維持したい、などは、カップルにありがちな状況でしょう。実際、長くつづいているカップルを見ると真逆であることも珍しくありません。興味深いことに、社交的な人と人嫌いの人、倹約家と浪費家の組み合わせなどもそう稀なことではないのです。カップルという関係が、お互い補いあい長期に渡り学びあう関係であるということを考えれば、これはある意味当然のことなのかもしれません。が、真逆であるということは、対立もあるし反目したり、争いが生じたりもする、ということでもあります。

カップル・カウンセリングのセッションは、第三者(カウンセラー)を交えて、話しにくいことについて話してみる、カップルだけではなかなか取りかかりにくいことに取りかかってみる、ストレス対処やコミュニケーションの方法などについて、専門家の手を借りる等のために使うことができます。感情的に二人だけでは扱うのが難しいような場合でも、セッションの場を使うのが有効でしょう。

カップルが子どもを持つことを希望している、あるいはすでにいるといった場合にも、カップル・カウンセリングの価値は認められるでしょう。ケンカがあるのは仕方ないことですが、カップルのごたごたにあまり子どもを巻き込みすぎるわけにはいきません。DVなどがあるのも問題となり得ます。同意・同調する必要はなくても協力すること、必要なコミュニケーションをし、家庭をある程度子どもが育ちやすい環境に整えることなどが必要となってきます。

最近のことですが、職場近くのファミレスで隣に3人家族がやってきました。両親と子どものようですが、子どもはもう成人している年齢です。クーポンを使うの使わないのから始まって、席について注文を終えるという一見シンプルな手順が、大変なごたごたとストレスをはらみながら進んでいくのに驚きました。おそらく、あまり経済的に豊かでないというのもあるかと思いましたが、明らかに「コミュニケーション不全」的な状況のようでした。メンタルの問題もあるように見受けられましたが、増長してしまっている子どもを親がどうにもできず、一枚岩になってなだめようとしてもなだめられない、という状態のようでした。

この例はカップルというより家族の状況かもしれませんが、カップルの一人一人がお互いを頼りにしながらも自立して、それぞれの良さや能力、個性を発揮できることが、子育てにも役立てられるのだと思います。どういう背景かは分からないのでなんとも言えませんが、この家族のご夫婦がそうしたリソースをもっと早く身につけていれば、子どもはまた違った風に育ったのかも知れないな、と思います。

そういった意味で、特にカップルが出会ってから、子どもが小さい頃までのカップル・カウンセリングは有用であると感じますが、もちろんカップル・カウンセリングは若い人のためばかりのものではありません。カップルの状況は仕事、経済状態、子どもの成長、年齢、健康状態、等々により変わって行きます。これはカップルの問題だということがあったとき、ぜひカップル・カウンセリングをお考えください。(体面のほかオンラインでもセッションが可能です。お問い合わせください。)