2023年07月03日

心理療法・カウンセリングの絶対の常識-守秘義務

このようなことを繰り返し書く必要がないことを願っているのですが、また守秘義務違反に通じるようなイベントの企画を見たため、投稿しています。

心理療法・カウンセリングにおける守秘義務は「絶対」です。「これくらいいいだろう」はないのです。 なにかと言うと、セラピストとクライアントの会話は他者から聞かれないこと。また、セラピストは知り得た情報を絶対に他人に口外しない、ということです(例外があり、それは現在起こっている児童虐待に関することや、自傷・他害の怖れがあるときです)。これは、心理療法で話される内容がタブー性が高かったり、誰かに話してしまう・知られてしまうようであれば話せないようなことであることが多いためです。

つまりは、友だちやその辺の人には話せない・話しにくいということで、そのためにこうした心理的サービスが存在していると言ってもいいですし、いらしていただく方たちには「友だちや家族に話せない」と言う方が多いですし、話せる場があって良かった、安心するとも言っていただくことが多いです。

(蛇足ですが、オープンマインドのHPであまり事例を載せていない・載せているとしてもざっくりとした内容でしかない、あるいは「お客様の声」的なものを直接取ったり載せたりしていないのは、守秘義務を守るためと、そうした「声」をいただくことで不要な義務感でクライアントを縛ることを避けるためです。)

カフェやホテルのロビー、イベント会場などでの「気軽な」(つまりオープンスペースで、赤の他人とは言え他者が漏れ聞く可能性のある状況)相談やカウンセリングは魅力的に見えるかもしれませんが、こうした肝心の点をないがしろにしており、メンタルヘルス業界全体への信頼を著しく下げてしまうものと言えます。

「気軽な」ものとして電話相談やチャットによる相談がよく行われているのも、こうした手段では比較的守秘義務が破られる可能性が低いからかと思います。

資格やオフィスを持っていない人の場合、その分料金が安いということも考えられますが、ちゃんとしたトレーニングを積んでいない故の「事故」も起こりやすくなるためおすすめできません。有り体に言えば自分の抱えている問題を十分プロセスしないまま、それを他人に転嫁して解決・解消しようとする、無意識的な動機に駆られている場合でしょう。まったく自分の「問題」がない人などいませんが、他人にそれを押しつけないよう(「投影」とか「投影同一視」と言います)、ある程度個人療法や教育分析(心理の専門家になるための心理分析)を受けてくることが常識です。しかし、心理療法やカウンセリングを受けること自体ある程度の覚悟が要りますから(これを軽減しようとは思うのですが、なにか本質的なこともあり、特に日本では根本のところで自分や家庭の問題などを「赤の他人」であるセラピスト・カウンセラーに話すことの抵抗が非常に大きいと感じています)、そこをスキップして困っている人を助けたい、となるのです。

心理セラピストや心理職になること自体、上述の個人療法や教育分析のほか(あるいは並行して)、通常何年ものプロセス(学校教育や実習・実務経験など)を経て可能なことであり、十分な準備ができていないまま、単発や数ヶ月程度の学びなどでそうしたサービスを提供すること自体、望ましくなく、控えてもらうべきことと言えます。

(なお、オープンマインドではこうした状況を踏まえ、少ない枠ですが低料金での心理療法・カウンセリングを行っています。必要・ご興味があるという方はぜひ一度ご連絡ください。)