イベント・ワークショップ・研修
2023年10月16日

昨日は水戸で講演でした

昨日、日曜日は水戸に出かけていました。講演のためです。あいにく雨だったため、ついでにちょっと観光しようと思ったのが、写真の弘道館(19世紀半ばの、水戸藩の藩校、徳川斉彬による設計・開設)だけになってしまったのは、ちょっと残念ではありました。(写真は弘道館のメインの建物の中で一番広い部屋で、試験など重要な物事が行われた場所とのことでした。)

しかし教会での講演には、合わせて12人くらいの方々にお集まりいただきました。テーマは地域のソーシャルサポートと子どもたち。最近、子どもたちが大変そうで心を痛めている人が多い、という話を事前に伺っていました。「ソーシャルサポート」とは、人と人とのつながりによる支え合い、のようなものです。なにか実際に役に立つものをくれたり、用立ててくれたり、貸してくれたり、働いてくれたりといったことから、気持ちを分かってくれたり、慰めてくれたり、励ましてくれたりというところにまで及びます。サポートがあることで心身の健康を損ないにくくなったり、ストレスがある程度高くても持ちこたえやすくなったりすると言われています。

話の流れ上子ども時代の虐待とその悪影響、といった話題にも及びましたが、質疑応答の時間なども豊富に取ることができ、参加のみなさんからもご家族がらみの悩み事の話が出たりもし、活発に参加していただきました。ここの教会は牧師さんが女性の方ということもあり、温かく理解のある雰囲気の中で進みました。

ただ、その際に感じたのはやはりカウンセリング的なものをアドバイスをもらって一発で解決すること、おまじないか占いのように感じておられる方もいたかな、ということです。分かってもらいにくいのですが、カウンセリング(心理療法)の主体はあくまでクライアントです。時間がかかっても、その人の気持ちや「こうしたい」という方向性を引き出し、支えていくのがカウンセラーの仕事です。そもそも、たとえば親子関係であればまずできるのに2年間はかかっています(と、言ってしまえるほど単純ではないのですが・・・)。それを、特定の時間や場所を使い、ノウハウやテクニック的なことがあるとは言え、新たな人と関係を築きながら「修正」していくわけですから、そんなに簡単なことではないわけです。と同時に、取り組んでいけば変わっていくものでもあり、希望は持てるわけです。

これまでにもまったく講演をしてこなかったわけではないのですが、どちらかと言うと学会発表の方が多く、このように実際の地域に足を運んでの講演というのはほぼ初めてでした。実際に心理職をやっている身が目の前でお話をさせていただくのにはそれなりのインパクトがあるのでは、と思っています。どうしても「カウンセラー」と言ったとしても具体的なイメージがないため、あやふやにあれこれ考えている人が多いと思われるからです。どうやって探したらいいのか分からない、ということも多いようです。

これをきっかけに必要な援助なども得てほしいと、あらためて思いました。心理サービスについてはどうしても東京や都市部に集中しているのですが、いろいろな地域の方々にもメッセージが届いたり、実際に利用してもらえればいいなと思っています。

(今回はたまたま知り合いのつてで呼ばれたのでバプテスト教会での講演でしたが、特に特定の宗教があるわけではありません。日・米での在住・就労経験があり、いろんな文化的・宗教的背景の人とカウンセリングなどをしてきているため、これまでキリスト教、仏教、イスラム教、ユダヤ教・・・等々、また無宗教の人なども含め、いろいろな人たちに接してきていると思います。念のため書き添えておきます。)