心理療法・カウンセリング
2024年03月12日

精神分析的心理療法とは? それで「得られる」もの

精神分析的心理療法とは、あるいは一般に心理療法とはどんなものか、どのように「効く」のか、という問いに簡単に答えることはできません。はなから否定で始まってはいけないと思うものの、そうなのです。

しかし、あえて簡潔に言うとしたら、一つは「どうして自分はこうなってしまうのか、どうしてこういう(人間関係、仕事、考え方、感じ方などの)パターンに陥ってしまうのか、自分はどんな人間なのか」ということを知り、変えられるところは変え、変えられないところは次第に受け入れられるようになっていくプロセス、と言えるかと思います。

こうした自分を振り返り、見つめるプロセスを促進するため、伝統的には精神分析的アプローチではセラピストはあまりしゃべりません。話されている思考の連鎖(連想)を分断しないため、というのもあります。ですが、オープンマインドではもう少し相互的(インタラクティブ)なスタイルを取っています。こうしたことはセラピストの受けた教育や訓練、性格や経験などにより、また相手であるクライアントとの関係性により、ある程度決まってくるものかと思います。

不安やうつ、トラウマに関連した症状などもこうした自分や関係性を考えるプロセスを経ることにより、全部がとは言えませんが症状が軽快していくことになります(症状の除去を目指した認知行動療法などとそこが違うところです。というのは、精神分析的アプローチでは症状は「自己表現」のように捉え、それが次第にほかのものに置き換わっていくことを目指し、症状=自己表現をかならずしも悪者にしないからかと思います)。

こうした作業を、できれば週1回かそれ以上(週3~や週4~になると「精神分析」と呼ばれますが)でやっていく訳です。決まった「枠」があることで、自分やセラピストとの関係の中でなにが起こっているのかが、分かりやすくなります。ときどき、気まぐれやほかの事情でキャンセルや変更を頻繁にする人がいるのですが、それだとそちらに目が行ってしまい肝心の作業ができなくなってしまうと言えるでしょう。まず定期的に、安定して来られることが出発点となります。

とは言いながら、なかなか週1回はきつい・・・(特に日本の社会人には)ということで、実際には隔週や月1回の方も一定数おられます。印象としては、コミットしておりきちんと定期的に通える(オンライン含め)人は、なんらかの進展がある、と感じます。

現代のめまぐるしい「スピードの時代」の真逆を行っているとも言えるかもしれません。(なにせ19世紀末くらいに最初に成立したものです・・・!)が、自分で内省し修正をしていく態度が身につけられれば、それは一生もので、こころのあり方は健康を含め身体のあり方にも影響するため、非常に有効な「投資」であると言えます。精神分析的アプローチがもっと盛んな欧米で人気があるのは、そうしたことがきっちり社会的に認知されているからだと思われます。

特にこれからいろいろ人生で重要なことが起こっていく、20代・30代の人で、自分が育ってきた家庭や両親との間で望ましくないことが起こっていたという自覚がある場合、こうした作業をやっていく意味は大いにあると言えます。今後のキャリアや家庭生活などの質が変わってくるからです。だからと言って40代、50代~で意味がないというわけではなく、いくつになっても自分や人生の見直しというのはやる価値があることではないかと思います。(オープンマインドでは現状20代~50代のクライアントさんがおられます。)