ちょうど今、オランダのかなり南の方のケルクラーデという町で、国際夢研究協会(IASD)の年次大会が開かれています。今年は参加できませんでしたが、かれこれ20年くらいになる長いつきあいの学会・組織です。
夢というと、なんとなくスピ系のイメージがありあまり科学的でない、怪しいと思ってしまう人も多いかも知れませんが、そればかりではありません。IASDでは、セラピストやドリームワーカーなどはもちろんのこと、夢を科学的に研究している研究者、大学の先生、夢を使った文学やアートをしている人など、夢に関心と興味がある人たちがおおぜい集まってきます。しかしもちろん、スピリチュアルな側面も、夢ばかりでなく心理療法にも欠かせないものだと思っています。近年では、ホリスティック・アプローチと呼ばれるものではスピリチュアルな側面まで含めて考えるようになっています。
多少、心理の素養がある人にとっては、夢というとユング派やゲシュタルト療法などを思い浮かべるかもしれませんが、そもそも夢を扱うこと自体は、フロイトの「夢判断入門」から始まって、精神分析的な伝統でも脈々と受け継がれてきているものです。
さて、そんな訳で、IASDに関わってきたことと精神分析的な学びをしてきたことの両面から、私の臨床「オープンマインド」でも夢を扱っていますが、「夢でなければいけない」とか、「夢を持ってこなければいけない」とかではありません。これまでクライアントさんと接してきた限りでは(主に長期のクライアントさんですが)、夢を多く持ってくる人(それこそ毎セッションくらいに)から、長い間つづけているのに、この人は少ないな~という人まで、さまざまです。夢を思い出すかどうかは夢に対する態度や関心のよって変わってくると言われているので(これも研究があります)、夢なんかどうでもいい、特に意味や価値はないだろうと思っている人だと、持ってこないかもしれません。
夢は、往々にして自分の盲点や、忘れていること、生活や人生での課題などを教えてくれることが多いです。夢によって、臨床の時間はより豊かに、幅広くなっていくと思っています。
夢は危険なもの、のように言われてきた節もあります。たしかに、夢のイメージ(シンボル)には大変な力がこめられていることも多いと感じます。しかし、夢は誰もが見るものでもあり、いわゆる「クリエイティブな」とか(それを使って)「成功した」人のためのものだけでもありません。古代から、日本では夢と密接な関わりがあったと言えますが、そうした感覚は大半失われてしまっているようです。誰もがそうした豊かさやパワーへのアクセスがあるのです。特に悪夢には人生を変える力や、ヒントなどが隠されていることが多いようです。また、繰り返しの夢は人生のおけるあるパターンを示唆しています。それも、人生を変えていくための大きなヒントとなるでしょう。
不眠症、睡眠障害、うつなどのうちに、思い出せない重要な夢や、悪夢などが関わっている場合も少なくありません。このような場合、抗うつ剤や睡眠薬などを連用していくよりは、ダイレクトに夢を扱った方が効果的であると思われます。気になる夢や悪夢、繰り返しの夢などがある場合、ぜひ一度ご連絡ください。