2019年04月17日

健康寿命とメンタルヘルス

人生100年時代と言われています。実際に自分が100歳まで生きるのか? と言われると実感がないのですが、そうなってもなんとかなるようにいろいろ整えていかないといけないな、とは思います。

人生100年時代に大切なのは何でしょうか? お金? 健康? もちろんお金や健康も大切ですが、オープンマインドではそれに加え「メンタルヘルス」を挙げたいと思います。メンタルヘルスはもちろん「健康」に含まれますが、一般には健康と言うと病気でないこととか、身体の病気のことを考えるのではないでしょうか。メンタルヘルスの中には人間関係の円滑さやストレスへの対処能力、学びの力や創造性、適応能力なども含まれます。

案外知られていないのは(というのも、そこを考えるとますます暗い気持ちにもなってしまいますが・・・)メンタルヘルスと身体の健康の間には関連がある、ということです。たとえばうつ病やパニック障害などと心臓血管系の病気の関連は言われていますし、ちょっと考えてもたとえばメンタルでやられていて外に出られないとしたら、運動不足になったり必要なものが得られなかったり(たとえネット社会でも)、いろいろ身体的にも弊害が出てくるのは分かるでしょう。

その他にも、ある種の人格障害(タイプCと呼ばれるもの)とガンの関係なども言われてきました。心理的な痛みやストレス、つらさなどを紛らわすためにお酒やタバコなどを使っていると、それも身体の健康に影響を及ぼします。お酒やタバコを止めるか減らすこと、また人格障害的パターンを改善することも、どちらもカウンセリング・心理療法でできることです。

さらに、メンタルヘルスの中で私が良くないと思っているのは、過剰投薬です。日本ではカウンセリングや心理療法がまだまだ認知されておらず、治るものも治さず投薬で、場合によっては異常なほど長い期間ごまかされているという悪しき傾向があります。これは、社会的にも大きな損失です。何かの出来事がきっかけでうつ気味になった人が、必要もないのにそれを何年も引きずることにより、場合によっては社会に参画することができなくなってしまいます。本来、薬だけということはなく心理療法などとの併用が「ふつう」なのですが、なかなかそうなっていないというのが残念ながら現状のようです。

これは、歴史的には日本の精神医療が、心理療法が得意だったユダヤ人を追い払ってしまったドイツの医療の流れを汲んでいるからだという話を読んだことがあります。

さて、社会システムや医療システムは簡単には変わらないでしょうが、一人一人ができることはあります。希望を持ち、できることをやっていくこと。受け身で諦めるのではなく、能動的に働きかけていくこと。うつ、不安、喪失、ショックなことがあったとき、人間関係の悩みなど、必要に応じ、カウンセリングや心理療法を活用していくこと。ある年齢を過ぎて、やろうとしても(不可能とは言いたくないですが)限界がありますが、ある程度若いうちにスタートすればより効果的に「メンタルヘルスをマネージする方法」が身につき、長続きします。その後のいろいろな状況で応用可能だからです。ある程度の年齢を過ぎてしまった人は、「決して遅すぎない!(never too late)」精神でこれからでも学んでいってほしいのです。